No.40 ファラデー式 LED点灯 2006.12.11.掲載 2009.1.30更新

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LED(発光ダイオード)を点灯させるには乾電池1本の1.5Vでは電圧不足です。全く点灯できません。簡単な誘導コイルを作って、乾電池1本でLEDを点灯させようとする実験です。

乾電池をつないだり離したりする時、LEDが光ります。

簡単で単純な実験ですが、ファラデーの電磁誘導を生徒一人一人が手作りで体験することになります。

作り方

(1) 長さ数センチの鉄のネジか釘に、例えば、エナメル線を1mほど釘に巻きます。リード線として数センチを残し、先端のエナメル塗料を紙ヤスリなどではがします。

(2) その上から、二次コイルとして、エナメル線を2〜3mほど巻きます。きれいに巻く必要はありません。やはり先端のエナメル塗料をはがします。

(3)二次コイルにはLEDをつなぎます。

 

 

実験のしかた

一次側のエナメル線の一方を乾電池につけ、もう一方を素早く付けたり離したりしてスイッチにします。

スイッチが入る時と切れる時に釘を通る磁界の変化が激しいので、二次側コイルに大きな電圧が発生するわけです。

1831年ファラデーは同じ実験で電磁誘導を発見しました。ただし、ファラデーの時代にはLEDは存在しません。長い電線の下に置いた磁針の動きで電流を見ました。

二次コイルの巻き数を多くすれば、それに比例して発生電圧が大きくなります。

一次コイルには大きな電流が流れるので、スイッチを入れっ放しにするとエナメル線が熱くなります。通電し続けないようにしましょう。

LEDには極性がありますから、反対向きに電圧がかかる時は点灯しません。しかし、この実験ではスイッチを入れる時も切る時も点灯します。これは、入り切りの瞬間に短いあいだ電流が振動するからです。

発展・・LEDを連続点灯させるには 「ミニミニ誘導コイル」

スイッチの入切を素速く繰り返せば、LEDはつぎつぎと点灯し、連続点灯のように見えるはずです。電磁石ブザーの仕組みでスイッチを振動させるものを作ってみました。電池の位置を調節すると、タップねじが細かく振動し、LEDが点灯します。振動が速いほど、LEDは明るくなります。
動作は…
 @一次巻き線の一端は小さなタップねじに巻き付けられ、エナメル線の弾力で乾電池の電極に押しつけられます。
 A一次巻き線に電流が流れると、タップねじがコイルに引きつけられて、乾電池との接触が離れスイッチが切れます。
 Bエナメル線の弾力で乾電池に押しつけられ、スイッチが入ります。
この繰り返しで振動する電流が作られます。旧式の「誘導コイル」と同じ仕組みです。

プラスチック段ボールなどの板にセロテープで部品を貼って行くと、手軽です。コイルの芯はくぎではなく、針金を切ったもの(8本くらい)を使いました。巻き線はホルマル線(一次:0.3mm径、長さ約1m、二次:0.2mm径、長さ2.5m)です。

一次巻き線のタップねじを取りつける方の一端は2〜3cm垂直に持ち上げてから下に下ろし、タップねじをぶら下げるように支持すると摩擦力がなく、動きやすいと思います。

タップねじの先端と鉄芯の距離を近づけると振動が速くなります。見た目ではLEDが点滅しているのではなく、連続点灯しているように見えます。

AMラジオを近づけると、バチバチと連続的に電波雑音を受信します。この装置が電波を出しているのです。(→No.   ラジオで静電気研究)

右は高校の理科の先生たちの研修会での制作風景(2009.1.28茨城県高教研理化部)
針がねにエナメル線を手巻きしてコイルを作るような作業は小学校以来だという方もいて、楽しく製作、実験していただきました。

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